はじまり

春の陽気が凍っていきます、つぶつぶと。
新年度の群れに落ちかかって、
ひっかかった人を冷やしていくのです、
ひとり佇むようなつめたさに。

冷えた人の目の虹彩がはなつ はる、
重たさに首を曲げていき わたしは彼女と
目が合うのでした。
花のない窓辺で、決闘のようにそらせないまま
一日がすごせる、けれど、
それでは何も終わらないではありませんか。

かける言葉を持たないまま、瞳の引力にまかせて
風にそよぐ洗濯物のよう、傍へと歩んでいました、
もう昼休み、華やかに泡立つ私語の波にのまれることなく。
見る者は机だけ、ふたりの響きは広まりから隠れて。
出すべき声のないまま隣に座り
彼女の横顔に横顔で応えながら食事を摂りました。
彼女の喉の奥に、言葉がわだかまっているようです、
それはまだ音を得ていないように。

ひっかかった者同士の冷たさで、つぶつぶがつるつるとすべって角を丸くしています。
一回り小さくなって私と彼女につもりました。
声のないひとときの静けさは、凍えるものではないので、なすがままです。

つぶつぶが消えるころ、言葉を拾い集めてわたしは
彼女へ声を出すでしょう。
わだかまりが解けたら彼女の声が聞けるでしょう。

2015/4/17