夏至

静かに静かに雨は降っていて、
寒いと声を出すことすら許されない。
夏至。
陽が最も長い朝から、どんよりと落ちている。
冷たいビニール傘が水滴に塗れるさまを、見るともなしに見て。
街がゆらり揺れる。

さらさら流れる時間の果てへ
行き着くことすら息切れする。
ちゃくちゃくと進めないこの脚を捨て去れれば
新たな物語を紡げるだろうか。

遠い雷鳴。
気詰まりな身体に温度を持つ。
息遣いが跳ねて、存在をわずかに主張する。
どこへでも行ってしまえと思いながら
ここにとどまって息をしている。

色づく傘を重ねて、表層だけ賑やかな街。
薄く鳥肌を立てて来ないバスを待っている。

2016/5/21