残った悲劇は片付けておくから、
きみはもう行ってしまいなよ、
追い回されるのには飽き飽きだ(ろう。
向いている方向が違うのに同じ靴は履けないのだ、から
心置きなく行ってしまっていい。

悲劇の片付けなんて、散らかった部屋の掃除と変わらない、
やってみたことはないけれど、そんな匂いがする。
片付けるものの違いだ、
悲劇が悲劇だったのは残されるまでであって、
今ここにあるのは残り香、搾りかす、に過ぎない。

窓を大きく開けて
片手に握った掃除機に散らばったものを吸い取らせ、
床を水拭きシートで拭えば
痕跡は消えていく、あっけらかんと。

わたしを踏み抜いて
きみは行った、
わたしはつぶれないから
焦がした胸はもう磨かれて、艶めいている。

2016/11/7