31音のあれこれ

*2011-2012(一部改稿)

瞬間を切り取るごとく走りゆく 誤りをも引き連れてほら

どこへでも連れ去ってくれていいよ 落ち着く先は落ちてくるから

蝶の止まった指先は無敵 女子力なんて信じてないけど

*2014-20150219

浅く腫れた蒼い乳房かすめて 鮮やかに今春雨が降る

左目の夢に浮く明日抱えて 郵便箱からこぼれる昨日

浴槽の首の重さに耐えかねて 砂漠の中へ捨てにゆく脚

月が追ってこられるように少しずつ欠片を蒔いて歩いています

氷河期の水を飲む朝 もしかしたらこの中にあなたがいるかも

彗星が降ってくる朝に呼ぶべき君もなくただ今日はゴミの日

気まぐれをぶつける相手探りつつ 歯形の残る青リンゴ二個

幾年も夜景となる君捕まえて 飛び立つ蝶を結わえつけたい

突風に心臓の音響かせて 水底をゆるり歩いています

左目が左目だけで泣いていて おいてけぼりのわたしと右目

止め処ない衝動性スパイラル 割ったカップ抱えて走るわ

世界から音を奪って雪は降る ただあなたの息を感じて

静かに鳴る耳をそっと押しつけて ぬいぐるみたちの話を聞く夜

しんしんと風にふるえる卵たち 未来の先はつま先が知る

どくどくとほてった肌に化粧水 ただそれだけの日々を生きてく

タイトルのない今日を行け 明日もなお たとえばそれは永遠に似て

こんこんと噛み合わない愛情論 あなたがわたしを生きてくれるの?

「いつか、また」 口にしながら私たち もう会わないこと確信してる


詩のフォルダをひっくり返していたら、短歌を集めたファイルがあったので、良いなと思えるものを引っ張り出してみました。詩をやるか短歌をやるか迷っていた頃に書いていた短歌で、新しくてももう2年前のものです。何を言いたくて何を残したくて書いていたのか、ほとんど思い出せないので、まるで他の人が書いたもののようです。自分で書いたものなのに意味がわからなかったりするほどで、短歌としての良し悪しはさっぱりわかりません。31音に収めるのにとても苦労したことだけは覚えています。人には向き不向きがあって、わたしは詩のほうがあっているということなのだろうな、と思います。(2017/5/16)